バレエを習う人の多くがコンクールに出ること、またコンクールで結果を出すことを目標にしています。コンクールの結果によっては、海外に留学するチャンスにつながったり、著名なダンサーに直接指導を受けられるスクールに参加したりすることができたりするためです。ただしバレエはスポーツではないため、審査基準はコンクールによって違いがあります。コンクールにこれからチャレンジしてみたい方のために、ぜひ知っておきたいコンクールの審査基準について詳しくご紹介します。

日本で開催されているバレエコンクール

日本でのバレエコンクールは増えてきており、参加できる資格や出場できる年齢、また結果を出した場合にどういった特典があるかによって選ぶ必要があります。ここでは日本で人気のコンクールをいくつかご紹介します。

全日本バレエコンクール

日本バレエ協会が主催するコンクールで、若手の登竜門といわれるコンクールです。アジア・パシフィック・国際バレエコンクールと1年おきに交互に開催されています。13歳から15歳のジュニアB部門、16歳から18歳のジュニアA部門、19歳から25歳のシニア部門があります。

東京新聞・全国舞踊コンクール

戦前から開催されている日本で一番古い伝統あるコンクールです。国内最大規模のコンクールであり、東京新聞が主催しています。バレエ部門だけでなく児童舞踊や邦舞、現代舞踊など6つの部門があります。

YAGPユース・アメリカ・グランプリ

1999年に創設された、アメリカで唯一のコンクールです。9歳から19歳までが対象で、世界のダンススクールで学ぶ奨学生になれるチャンスがあります。日本予選に参加し、インターナショナル大会に出場する権利を勝ち取る必要があります。

エヴァ・エフドキモワ記念エデュケーショナルバレエコンペティション

ヴァリエーションとレッスン審査のあるコンクールで、基礎がきちんと身についているかなども審査の対象となります。入賞すると海外のバレエ学校の留学資格、バレエ団研修などを受けることができます。

ジャパン・バレエ・コンペティション

通称JBCのコンクール。全国でコンクールを開催し、クラシック部門、モダンダンス部門、アンサンブル部門があります。

バレエコンクールの審査基準について

バレエはスポーツとは違うため、「難しい技をしたから点が付く」というものではありません。また他のダンサーと比べて上手だから優勝できるというわけでもありません。もちろん基礎はもちろん技術的なレベルは求められますが、基準は以下のような大まかなものであることがほとんどです。

表現力

作品を理解し踊っているかどうかに加え、ダンサー自身の個性も重視されます。

音楽性

バレエの重要な表現である音楽について、きちんと音が取れているか、音で表現ができているかなどが見られます。

外見・容姿

バレエを踊るにあたっての体全体のバランスや役柄にあった美しさがあるかどうかなどが見られます。

舞台のマナー

衣装やシューズ、メイクやヘアなどの身だしなみがきちんとできているかどうか、また舞台に対する姿勢などがチェックされます。

役や踊りの解釈

ダンサーが自分の踊る役について理解ができているかなどが見られます。

コンクールで結果を出すことだけが全てではない

コンクールの基準については、コンクールごとに違いがあるため「基準を守れば入賞できる」というわけではありません。極端な場合、踊りにミスが多くても審査員が心惹かれるような魅力があれば入賞することもあります。逆にコンクールのために無理に難しい技を取り入れるなどして、怪我をしたり体のバランスが崩れてしまったりする子供も増えています。コンクールに参加することでステップアップをする、また舞台慣れするといった目的を持ち、入賞だけが目的にならないよう地道に練習を積み重ねることが大切です。