華やかな衣装、独自の振付、そして舞台芸術と音楽の4つの要素からなる舞台芸術として、世界中で演じられ学ぶ人も多いバレエですが、スポーツとして見る人も少なくありません。実際にはバレエは複合的な芸術作品であり、その歴史は500年以上あるといわれています。またバレエは起源となるバレエから様々に派生しており、振付や衣装が異なります。そこでバレエの起源と共に、今あるバレエの種類別にどんな進化や変化を遂げたのか詳しくご紹介します。

バレエはイタリアで生まれフランスで育った芸術

バレエの起源は、イタリアでルネッサンス期に踊られていた「バッサダンツァ」が派生した「バッロ」といわれています。ただ、当時バッロは宮廷で余興として踊られていたものであり、今のバレエとは全く異なる踊りだったともいわれています。そのバレエをフランスに伝えたのは、フランス王家に嫁いだメディチ家の娘であるカタリーナでした。バレエはまたたくまにフランス宮廷で人気を集め、ルイ14世は自らが踊るほどバレエにのめりこみます。そのルイ14世によって王立舞踊アカデミーが創立され、バレエは大きく進化します。その後パリのオペラ座が建設され、バレエは貴族だけのものではなく、民衆、そしてプロのダンサーが踊るものとなります。

フランスで育ったバレエの進化

フランスでバレエは舞台芸術としてその形が確立されますが、その後フランス革命が起こります。革命後にそれまでの社会体制や伝統に反発し、個人を尊重し自由な感性による表現を求めるロマン主義が生まれます。ロマン主義はバレエにも大きな影響を与え、ロマンティック・バレエが誕生します。このロマンティック・バレエをはじめ、大きく分けて4つのバレエが今世界中で演じられているバレエがあります。イタリアで生まれ、フランスで育ち、進化したバレエを種類ごとに見ていきましょう。

1.ロマンティック・バレエは現代バレエの起源となるバレエ

イタリアの宮廷舞踊であったバッロが、フランスに伝わり、バレエ独自の表現方法が確立された後に完成したのがロマンティック・バレエです。他のバレエの中でももっとも古い歴史を持ち、派生したバレエの起源ともされています。ロマンティック・バレエは幻想的な作品を演じるため、ダンサーはロマンティックチュチュと呼ばれるふんわりとした衣装をまといます。主人公は妖精や悪魔です。妖精として踊るためのポアント(つま先立ちで踊る技術)はこのロマンティック・バレエで生まれ、19世紀にはその記録が残っています。

2.クラシック・バレエはロシアで生まれ独自に進化

フランスの振付師であるマリウス・プティパがロシアの作曲家チャイコフスキーが組み、作り上げた作品がクラシック・バレエとして確立します。ロマンティック・バレエと違い、クラシック・バレエは複雑な振付や高いジャンプなど技巧が求められるバレエです。そのため、衣装も体に合ったクラシックチュチュと呼ばれる形に変化します。ロシアで進化したクラシック・バレエには、今も名作といわれる作品が多くあります。

3.20世紀に生まれたモダン・バレエ

ロシアのプロデューサー、セルゲイ・ディアギレフによってフランスに創設されたバレエ団「バレエ・リュス」による新しいバレエ、モダン・バレエがフランスでブームを巻き起こします。衣装や靴も自由で、肉体による表現は「火の鳥」や「春の祭典」といった名作を生みました。

4.革新的なバレエ、ドラマティック・バレエ

フランスで生まれたコンテンポラリー・バレエや従来のバレエ作品をより演劇的にしたドラマティック・バレエは20世紀に生まれ21世紀の今も演じられています。クラシック・バレエやモダン・バレエと違い「現代バレエ」と呼ばれるこれらのバレエは、今も進化・変化し新しい作品が発表されています。